沢山ある植物工場

2009年年末の12月、雨の中、LED応用の関係で植物工場のフォーラムに参加した。某大学の100人規模の会場は満員でした。主催者側は140名の申し込みがあって心配していたようですが、あいにく寒く雨が強かった天候が災いし、実際は定員の100名程度の参加者で、内心ほっとしたと言っておりました。何せ、時流で人気があったようです。

正直言って、LED光を使った野菜工場では採算が取れず、安い蛍光灯(と言っても液晶TVのバックライトに使うCCFL(冷陰極管)が良いようで)を使って、さらに国の助成を受けてやっと採算が合う程度の事業になる話もありました。

関西の照明機器メーカが植物工場用の光源キット、システムを手掛けていて、事業性を詳しく分析した話もありました。

植物の成長(葉緑素だけではありませんが)と光の関係をかいつまんで簡単に説明すると、赤色は葉を成長させ(葉物の野菜など)、青色は茎を良く成長させる傾向だそうです。可視光の真中の緑色はなんら関与していないそうです。

ここで、面白い話ですが、人の視覚では緑色が一番感度が高いそうです。ここからの話は、私の勝手な想像ですが、緑色を吸収しない植物の色(これは人が進化過程で草食動物だった時)、いかに緑のものを見つけるかで生死が分れるわけですから、人の視覚の優勢進化があったのではないでしょうか。

光を使った人工植物工場の事業性は、レタスや小松菜などの安い野菜では採算が取れないので、単価の高い野菜、または薬効成分を多く含む様な植物を取り組めば、まだまだ可能性はあるようです。

また、温度、風流などの空調管理、水耕栽培の養分管理はコンピュータシステムで行います。管理コストは空調管理コストが大きく、どちらかというと夏の暑さを避けるため寒い地域で植物工場を作った方が採算性は良くなります。

火星まで有人衛星で行く場合を想定した、船室内での植物育成と水、その他ガスなどのリサイクル技術を同時に開発する話もありました。

そのような背景で植物の生理学的話もあり、現在我々が接している野菜、植物は相当進化した植物で、太陽光と重力、それに季節サイクルに順応したものであることが分りました。

無重力下の影響も研究されていて、植物の成長にはやはり良くない結果が得られているようです。種から発芽する際に、小さなとげのようなものが必ずあり、それで種の皮を抑え、新芽が重力と反対方向(普通で言うと上向き)に伸びるので、無重力下では、そのとげが無くなってしまい、発芽も上手くいかない確率が大きいそうです。

また、植物が吸収する二酸化炭素の量と発酵菌、その他菌類(キノコも含む)が酸素を消費して、人と同じようには排出する二酸化炭素の量(世界規模で)がばかにならない量であり、ひょっとしたら温暖化と絡むのではないかと思いました。

人が1日で1kgの炭酸ガスを排出し、年間で0.4トン。世界人口を50億人とすると20億トンが排出されます。人は食物から炭素を受け入れますから、植物が大気から光合成で炭酸ガスを吸収したものを連鎖で利用していることになります。その先の話をしますと、温暖化の話にそれてしまいますので、止めておきます。

光を使うことだけが植物工場でなく、知らないで食している野菜は結構工場スタイルで生産されている。キノコ類、水耕栽培野菜、などの話を最後にされた。

よくある時代の産業変化

新製品が旧製品と比べて価格が安いのは、製造費、流通費、在庫など管理費、代理店や小売店への報酬がいらないから。

新製品は旧製品の半額ほどに設定。

新製品・産業での狙いの一つは、価格決定の主導権を従来産業企業が握ること。

旧製品での知財権利者の取り分は10%ほどだが、新製品ではこれより高い率になりそうだ。

旧製品では分割販売の形にして安価で「ばら売り」することもある。

新製品だと、シリーズ品のうち第1番目は無料にする。

新製品の伸びが旧製品の売り上げを減らすのではないかという懸念がある。よくありそうな新製品と旧製品との話。

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新製品をD、旧製品をKとして、若干書きなおすと、事情は以下の様になる。

DがKと比べて価格が安いのは、製本・印刷費、運送費、倉庫など管理費、取次会社や書店への報酬がいらないため。

DはKの半額ほどに設定。

D産業での狙いの一つは、価格決定の主導権を日本の企業が握ること。

著作者の取り分は10%ほどだが、Dではこれより高い率になりそうだ。

Kで分冊の形にして安価で「ばら売り」することもある。

Dだと、全6話のうち第1話は無料。

Dの伸びがKの売り上げを減らすのではないかという懸念がある。

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実は、Dは電子書籍、Kは紙の本と置き換えられる。最近の記事のまとめをこのようにしてみた。よくある時代の産業変化と簡単に受け止めたい。

電子書籍が紙の本と比べて価格が安いのは、製本・印刷費、運送費、倉庫など管理費、取次会社や書店への報酬がいらないため。

電子書籍は紙の本の半額ほどに設定。

電子書籍産業での狙いの一つは、価格決定の主導権を日本の出版社が握ること。

著作者の取り分は10%ほどだが、電子書籍ではこれより高い率になりそうだ。

紙の本で分冊の形にして安価で「ばら売り」することもある。

電子書籍だと、全6話のうち第1話は無料。

電子書籍の伸びが紙の本の売り上げを減らすのではないかという懸念。皆さんはどう行動されますか。

http://www.asahi.com/culture/update/0520/TKY201005200310.html

目が届かない処、、スカイツリー

過日、2010年4月3日に念願のスカイツリー参りを果せた。都内で何処からも遠目で見渡せ、いつか行ってみたいと思っていたが、偶々浅草方面を散策していた時、目の前にそびえるツリーを目指してしまった。その機会は東京タワーを追い越した338メートルの日だった。

多くの方が成長中のスカイツリーについて述べられていると思うので、当日周りをうろうろして、2点ほど目が届きそうもないシーンを写真に収めたので紹介したい。

これは見上げた普通の成長中の先っぽである。

 DSCN0694

大勢観光客がいる十間堀の反対側で収めた物。こちらは人が少なかった。気になったのは作業するクレーンが色分けられていた。これでは、緑と黄色、視野外にもう一色のクレーンがあった。間違いのないように、色分けされたクレーンで、分類された機材を上まで持ち上げるのだろう。

カラフルクレーン

カラフルクレーン

次は、十間堀側に回って、手前の護岸工事をしている処の、コンクリート製の土手である。ちょうど断面を綺麗にカットしたばかりの地点があった。4回ほど拡張工事をしている様子がうかがえる。見えづらいが④が初代の護岸で、②がそのあと嵩上げされたもの、①が背丈・幅をその後拡張されたもの、③が最後に川というか、運河側に設けられた幅だけ広げた工事で出来た護岸と思われる。③には断面と垂直方向へ鉄筋が入っているのが分る。

番号付き護岸

番号付き護岸

最近気づいたこと

寝室の小さなTVが壊れた。古いブラウン管のタイプ。これはCATVのセットボックスにつながっているので、デジタル化して、買い換えようかとも思った。しかし、まだ実行していない。リビングのTVはデジタルセットボックスにつながっているので、映像を見たければ、それで十分。

良く考えれば、TVを見る時間が減っている。忙しいわけでもなく、どのチャンネルを見ても、民放は似た内容の番組。TVが壊れたといったけど、映像だけ見えない、CATVのセットボックスから音声信号だけ取り出して、オーディオアンプにつないで、ステレオで聴き始めた。

NHKの衛星放送などニュース時間は英語の通訳がスピーカーの片側から聞こえて、もう一方からは日本語になる。聞きづらそうだけど、なれると意外といい。

普通の番組は音声から、何が写し出されているのか勝手に想像できる。切り替えると普通のFMラジオなど聴くことができるようにしてあるので、その音声を良く聞くと、TVの音声、特に人の話言葉が違うように思った。ラジオの方が分かりやすい。

TVの音声は、映像があることを前提にして話しているらしい。何か足りず、省略されている。だから、どんな映像なのか想像するのが意外と面白い。

壊れた小さなTVを買い替えても、最近の小さな液晶TVは5万円程度。ちょっとおつりが来る。このように、躊躇させている理由がある。

こんな事を、2009年7月ごろ呟いていた。2010年今年に入って、とうとう地デジ化の波には抵抗できず、家の全てのTVを地デジ対応のCATV契約とした。何か大きくライフスタイルが変わったかと言えば、そうでもない。

リモコンがかなり複雑になった。地デジ、BS衛星放送、CATVプログラム、さらにVODボタンがあり、これはVideo on demand、有料ビデオといった具合である。私を含めて、家のものは度々選択ボタンを誤る。

さらに視聴可能なチャンネル数が以上に多い。しかし番組の内容が充実しているとか、素晴らしいなと満足させるものは限られている。やたらに物を直接的に買わせる通販チャネルが多い。知らずのうちに誘導する流行りの通販の類の番組があり、これは大手のTV放映会社までやっている。

CATV会社ももっとユーザを取り込もうと、平行して提供しているインターネットサービスで、IP-TVをサービスに加えようとしている。確実にシニアーも含め若い世代からライフスタイルが変わって来ているので、従来の延長線上でTVチャンネルを提供しても、そう簡単にはユーザは飛び付かないと考えている。

2010年5月中旬

暗中模索2

先般、twnomincやwhuffieを勉強中と言いましたが、これら語彙の生まれた背景に関する著作や著者について覗いてみた。ご存じのCory Doctorow氏やTara Huntさん。

Reputation Currency (評判度の通貨)、whuffie factorを見える化しようとITツールの開発も視野にある。これは使って無くなる従来の貨幣でなく、蓄積されていく価値らしい。増える事もあれば減る事もある。どうしたら増えるのか、どうすると減ってしまうのか。幾つかの指針・指標が提案されている。著作のすべてを鵜呑みにはできないが、私は未だ、所謂現実の経済や貨幣の概念から逃れられない。

何に一番近いのかと考えた処、与信限度とか信用供与ではないかと、個人的には思った。与信限度とは売り買いの時、支払い・決済が未だされない時、いくら分までの商品を受注約束したり、現物を納品しようかという、仮想的な約束である。

仮に、今まで毎月100万円程度の取引しかなく、支払いも滞りなく行われていた顧客が、いきなり来月から毎月5000万円の取引をしたいと持ち出された際に検討するのが、与信限度・信用供与である。ただ、沢山買ってくれるから嬉しいと単純ではいられない。納入側は製造する物品の仕入れで責任を仕掛り期間中、持たなければならない。仮に、出荷して、2カ月先の支払い期限で、客が倒産、決済が出来ないなど状況はいくらでも有り得る。

逆のケースもあろう。今まで毎月1億円の取引があり、問題なく決済もされてきた。しかし、噂によるとその取引先B社の事業がおかしいらしい。すると、翌月の与信限度は半分の5000万円までにしようとかすることである。ここで、気になる“噂”の真偽はどうなのであろうか。どうやって、推測情報を得たのであろうか。現実の経済では見えない部分も多々ある。

サラリーマンの住宅ローンなどもそうであろう。今、年収400万円レベルで、4000万円のローンを組んでくれるだろうか。担保は?将来の年収増加は?とか査定され、貸せない、お貸ししましょうとなる。これはサラリーマン自身の将来性なのか、勤めている勤務先の安定性なのか、本来は見えない“価値”を評価してくれて、このようなローンを組むのである。

さて、このような物品ではなくSNSの中で形成される“噂”の真偽、見えない“価値”を蓄積し、それをmarketingの世界で展開しようとする試みをタラ・ハントさんは考えているようだ。

点ひとつで

最近教えて頂いた携帯メールアドレスへご案内を発信していた。複数の宛先にまとめて発信していて、送信未達で警告された方へは再送して、返信を頂いてやり取りが出来ていた。それで安心と思っていた矢先、昨晩、奇妙な事が分った。

別の方へもそのご案内のメールを差し上げていたのだが、私には届いていませんという。おかしいですね、実際に面と向かっているその場で、その方へテストメールを送った。おやおや、送信未達のエラーメッセージが出ている。やり直しても同じ現象。メールのアドレスには間違いが無さそうだし、その方の携帯メールは他の方との送受信は出来ている。

しばしの間、分らず沈黙。アドレスを、再度直接手入力してみましょうと、やってみた。xxxx@xx.xx.jp  これで間違いないですよね。そうですね。テストメールの発信をして再確認した。おやおや、上手く届いた。しかし、お互いしっくりしない。何処に悪さをした原因が分らずまま、正常状態になったのである。

しばし沈黙。再度間違ったアドレスをチェックしようと、そうですよね、この前は赤外送信でプロフィールを送っているから、間違いないですよね。私も赤外通信で頂いたプロフィール、電話番号、メールアドレス、その他をそのまま保存して使用し、過信していたのだ。私は、もう一度、その赤外通信で頂いたプロフィールを1文字ずつ確認した。

発見、アドレスが xxxx@xx.xx.jp.  となっていたのだ。jp  におまけの“点”まで入っていたのだ。その方も気づかずにいたらしい、ご本人のプロフィールも訂正して事なきを得た。恐らく、赤外通信でプロフィールを頂いた方で、未だメールおかしいですねと言っている方も入るかも知れない。

“点”も100点のテストを期待して99点で悔やむ場合と、文章中のカンマ、ピリオドなど不正確に使い続け、本当にどこが誤りで、それを正して、これは本物だと言えない曖昧な状況などあろう。こうやって、今日のブログを書いていても、カンマなどの位置には自信がない。それに比べると、英語の文章はカンマとピリオドの位置ははっきりしていると思う。

神田川のB面

まだ梅雨ではなさそうですが、雨降りの新緑を迎えている今日です。

こんな気候になると桜がパッーと咲いて散ってしまった頃をすぐ忘れてしまいそうですが、今年神田川沿い、面影橋辺りを散策した時の話をします。

何度が訪れているので、都電の駅を一つ手前、学習院下で降りて、住宅地の路地から神田川沿いの整備された散歩道を目指しました。

ビルから見下ろされています

ビルから見下ろされています

実は都会の喧騒の中、神田川といえども良く周囲を見渡すと、こんな情景の中で我々につかの間の憩いの時間、空間をくれていることが分ります。高層ビジネス街とまで行かないにせよ、高層マンション、雑居ビルに両脇をしっかりと押さえられています。やっと見つけや狭い地所に、また何か建てるのでしょうか。工事中の機材が置かれています。

少し前を行き、神田川の両岸に整備された散歩道にたどり着くと、凄い人でした。結構小さな橋が跨いでおり、散策客が立ち止まって眺めています。もちろん、シャッターチャンスとばかり、前を知らずに通り過ぎようとすると、あちこちで、すいませんと聞こえる。

世間並の光景です

世間並の光景です

こうやって撮った写真は如何にも、桜満開に相応しい図柄である。人の表と裏、日常の生活の表と裏、目に見えない行動の表と裏があるように、簡単に書いたり言ったりしますが、本当の表側はどちらなのか気付かない事が多々あるように思えます。レコード歌手も、意図しなかったB面の方がヒットしたという事も稀に聞きますね。神田川のB面が好きです。

IT関連キーワード

難しいITツール開発に関するアルファベットの短縮形のご紹介ではなく、皆さんご存じの国・自治体などのIT構想(政策)で出て来たキーワードである。

e-Japan

u-Japan

それから、

u-Cityもある。

ちなみにeは電子的、情報的なという意味合いで、electric の頭を採った物。uはubiquitous(ユビキタス)というものの頭を採った物。ユビキタスは、ドラえもん、のび太君のどこでもドアという感じで、いつどこでもブロードバンドに繋がる環境にありたいという願望的なものと思う。

これらの詳細な説明はwikiなどでご覧頂きたいが、時間軸を追ってみると、

e-Japan が2000年9月

u-Japan が2004年5月

u-City  は2006年10月に構想が政策として発表されている。

今(2010年5月)や光ファイバーが日本では1500万世帯以上に普及して気はいるが、これらの構想がぶち上げられた時期はまだまだブロードバンドのインフラ普及が小さく、ハード的なインフラを予算をかけてでも先ずは普及させ、国のよりどころ強みにしていこうというものだった。タダではお金は投入できない、安心、安全、生活が便利になるというコンセンサス、大義名分のもと進められた。

昨日、u-Cityというキーワードを見て、最初u-Japanと勘違いしてしまった。u-Cityは韓国の建設交通省が進める構想であることに気がついた。実は光ファイバーというか、英語の省略形でFTTH(fiber to the home)とかFTTXとか呼んで、インターネットやケーブルテレビが光ファイバー回線で繋がれている事を言っている。

FTTHと言っても本当に自分のパソコンのまで光ファイバーで繋がっているわけではなく、

多くは家の壁もしくは室内モデムまでであり、パソコンまではLANケーブルで繋がっている。それに対してFTTXとは家の近くまで光ファイバー来ている(例えば電柱上のケーブルに接続された装置)とか集合住宅に住んでいる方だとアパートとかマンションの1階または地下にある箱まで光ファイバー来ている事をいう。

ざっと見るとこんな事がブロードバンドインフラなのである。さて、韓国のu-Cityの続きであるが、このFTTXの世帯普及率という統計調査数値が公表されていて、韓国が50%を超えている世界唯一の国なのである。その韓国にしても、ハードインフラでなく、ブロードバンドユーザへ提供するサービス、コンテンツに苦労している事を昨日知ったのである。ちなみに日本のFTTXの世帯普及率は30%台です。韓国・ソウルで5月24-25日でこの関連のFTTHカウンシルのカンファレンスが開催されます。

http://www.ftthcap-seoul2010.org/eng_welcome.html

どんなコンテンツかというと普通のインターネットは別にして、やはり映像中心である。VOD(video on demand)、欲しい時にビデオ映像が見られる事。次にIPTV、インターネットでTVが見られる事。どんなものかというと、所謂日本で言う普通の地デジTVの再送レベルではいけないとして、IPTVならではのデジタルコンテンツ開発や、面白かったのは海外からいいコンテンツがあればそれも導入しようとする積極さである。

いまや年齢、性別に関係なくブロードバンドを使いたい、提供されるコンテンツを楽しみたい、双方向的(interactive)に楽しみたい、企業は死活問題でスリム化やコスト削減、お客を捉えるmarketingとして使いこなさなければ生き残れない。

ただし、人の選択権というものもあり、騒々しいIT環境などご免被りたいと強い意志を持っている方もあろう。重厚長大、軽薄短小、行け行けどんどんで進めて来たこれまでのやり方では、100%普及などはあり得ない。

普及率99.5%で、IT格差、IT難民でなく、自らの選択でIT不要という生活を楽しみたい人も0.5%位はいる世の中なのかもしれない。

社会を変えた光、照明

古来から人類は火を崇めて来た。

それは天から降ってくる隕石などか、身近で頻繁に発生する雷(稲妻)なのか、諸説あるが、言えることは人知を超えた自然界の力(神)としての火があった。

火を自分の支配下において、火を起こす道具を開発し、たき火で暖を取り、明かりを得て、人類の生活は大きく変わった。正確にはそれがいつごろだったのか定かでないが、夜の社会生活が人類、民族に生まれ、大きな集団へと発展する糸口の一つになったことも確かであろう。

さて、そんな可燃物を燃やし、火を得ていたのであるが、それが所謂材木類から、燃える水(自然にわき出る石油)や燃える石(石炭)の発見をして、人類は先史時代から、日本で言うと江戸時代後期まで来てしまった。その途中では植物、動物の脂を燃やして、火を得ることも発見した。

蝋燭、行燈などは、なじみ深い言葉になってしまった現代である。一つ忘れてはならないのが、燃える水や燃える石の争奪が社会構造を大きく変え、争い、経済の根幹を支配してしまっていることである。

人類が青銅器、鉄器を得るためには、鉱石を高温度にしなければならない。それには所謂燃料を燃焼させて、高温度にして、なおかつ還元状態にして金属を得たのである。精錬技術の登場である。

17世紀には精度の良いレンズが開発され、それを使うと昼間太陽光でも高温度が得られる時代にもなって来た。当時はワットの蒸気機関もなく、有効なエネルギー源としては捉えられなかった。

19世紀に電気発電が考案されると、すぐさま電球が発明された。蝋燭、行燈などの燃焼で得た光から、電気抵抗線の発熱・発光による光が生まれたことになる。その現象は燃焼という化学現象から、物理現象の輻射という全く異なった物へ変化した。

ちょうど、電球照明が出回り始めようとする時、既に大規模にガス灯が広まっていて、その経済的事業活動者と競合しなければならなかったそうである。また、エジソンといえども、ガラス玉の中に竹を炭化した線に電気を通した初期の電球では競争に勝てるわけでなく、その後タングステン(金属)に電気を通して、明るさや寿命を大きく改善したものが出回ったのである。

調べると、そのタングステンを使おうと開発したのはエジソンの電球と競合していたガス会社だったそうである。

時が流れ、20世紀半ばになると今までになかった半導体というものが材料技術の高精度化(純度や不純物の制御)で世に出てきて、真空管の機能を微細化したトランジスタと光を得るダイオードやレーザの開発が進んできた。これらは、照明ではなく、コンピュータや通信の分野を大きく発展させる力となった。

照明では蛍光灯が1926年に考案され、抵抗加熱による発光(電球)よりも効率が良く、安価で市場に出回るようになった。これは金属イオンの励起による紫外線を蛍光体材料で発光するというどちらかというと、少し難しい量子光学物理現象の応用である。

20世紀後半になって、大規模照明ではないが、目印や目には見えない赤外線を使ったリモコン装置に発光ダイオード(LED)で得た光を利用するようになった。通信分野で使われている発光半導体は非常に高価で、日常生活の照明には向かなかった。

しかし、21世紀に入って、このLEDが注目され、大量生産され、価格も下がって来て、照明用途に注目されている。その理由はエネルギーの利用効率が良く、低炭素、環境に優しいという省エネ、エコに相応しいということだ。

今まさに(2010年)、2000-5000円という価格レベルのLED照明が市場に出回り始め、人の生活における照明に、こんな難しい原理に基づいた機器が入り込んで来たわけである。

これらの実現過程では、莫大な研究開発予算が官、民で注がれ、これは全世界の経済戦争の一翼にもなりかねない。それは希少半導体材料資源の確保や特許などの知財権係争、LED素子が搭載された主要応用製品である液晶TVのメーカ間競争は、世界経済を揺るがす規模になっている。自動車のヘッドランプにもLEDが搭載され、全てエコ、省エネの合唱連呼に依るものである。自動車産業も競争に絡んできている。

一つ忘れてしまいそうなことを話したい。青色、白色LED照明で、“冷たい光だね”とよく聞くことがある。これらLED光には、人が温かみを感じる赤外光の成分が決して含まれていないのである。人の目に見える、赤、緑、青の光(可視光)をごまかしで混合・組み合わせて白っぽい光としている。

 その無駄な発熱成分を抑制して、エコ、省エネを唱えているが、LED 照明機器からは半導体デバイスから発生するかなりの熱を発散しなければならない。それは光でないので、暖かくは感じない。機器を触ると熱く感じるものである。

人は、その暖かく感じる照明を求めているような気がする。何しろ、寒い時の焚き火は文句なく最高ですから。

注:イノベーション

「従来技術の新しい組み合わせで創る」とよく言われている。従来の競合技術の組み合わせでは実現できない、「他の原理に基づく既に存在していた技術」で、先行競合技術では実現できなかったことを実現させること。

照明の例;

化学的燃焼 -> 電気通電抵抗発熱 -> LED 半導体接合とスペクトル制御 など、教科書に掲載されている項目である。