最近のフォトニクスと見えない日本

久しぶりに、米国OIDAのサイトを覗いた(閲覧した)。

そこで米国国家プロジェクト、NPI  National Photonics Initiativesの活動が紹介されていた。

ほぼ1年遅れで見ることになったのだが、2017年の後半に2018年のフォトニクスを予想するみたいな記事(動向)があって、精査した。2018年の実績、成果と言ってもいい、Lidar, VCSEL, Additive Manufacturing, Basic research: Make America great again? 等々が取り上げられていた。

Lidar 技術はもともと大気汚染を監視する為に開発されたという。それが車の自動運転のためのセンサーとし脚光を浴びることになった。

VCSELは通信用だけでなく、上のLidarの光源、アップルの携帯端末の搭載される3Dセンサー向けに膨大な数(従来の10倍)のVCSEL半導体チップが必要であること、米国の大手メーカ2社の名前(L社、F社)が示されていて、日本の企業は蚊帳の外である。

Additive manufacturingにはガスレーザではなく、高強度狭短パルスファイバーレーザが必要で、業界のメーカが買収などを通じて、大手は市場の40%を抑えているという。

Basic researchのセグメントでは、量子暗号化通信や人工知能AIへ米国だけでなく、中国、欧州が巨額の開発投資をしているとあり、日本の引用などは無かった。

グリーンフラッシュ @Guam

陽が沈む時、最後の瞬間に緑色の光を放つという。

実際、2年前に訪れたグアム島で、タモン湾で夕日が沈む時に経験した。それを写真で示すとなるとなかなか難しい。自分の眼で見えたと確信しても、デジカメの画像データに自分の眼と連動して、記録されたかは定かでない。

現場の体験では太陽の球体の頭がまさに海面へ隠れようとする数秒間で緑が放たれた。生憎人の眼や感光剤では緑色でも時間が長かったり、強度が蓄積すると白化してしまう。

撮った写真を紹介するが、緑なんて見えないと言われれば反逆は出来ないが、眼で見た時は最後の円弧の一部が海面と接する辺りから放たれた。上の空と接している部分ではなかった。

貴重な経験であった。

拡大調整
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green flash
green flash

ファラディー (1791-1867) の努力を知る

遅きに逸した。この60歳になろうとしている時期に、電気の世界で著名なファラディーの逸話を知った。

貧しい生活環境の中で電磁気を研究したそうだが、そのスタートは何にも関係ないビートから砂糖を抽出する化学的なテーマだったそうだ。しかし、この課題は当時(19世紀)のイギリスの国産の砂糖を作るという食糧事情を改善させる大きな課題であった。

さて、ファラディーが研究分野へ入るきっかけになった逸話を知ったのだが、貧しい家庭にあって学校にも行けず製本業の仕事をしながら、ある研究者の講義の手書きメモを取って、綺麗に製本印刷した事であった。これが研究者の目に留まって、助手としてスタートする事になったそうである・

しかし、ファラディーの研究は電気と無縁の生石灰やダマスカス鋼より堅い鋼を生みだすテーマで、ここでも錆びない金属ステンレス考案を先駆的に行ったのである。(1819年)

1831年には有名なコイルに電流を流して電磁誘導現象を発見し、モータ装置へ繋がった。この偉業が世界の全ての人類の生活様式を変えてしまうturning point だったと認識した。

1839年には、後にまたまた世界の人類の生活様式を変えてしまう半導体が実用になる100年前に既に酸化銀の導電性を調べて半導体物質を初めて発見していたのである。

人が短い一生の中で、後世人類の生活様式を一変させてしまう偉業を2度も達成していた事には、深く敬服したい。

http://en.wikipedia.org/wiki/Michael_Faraday

http://www.ijinten.com/contents/ijin/faraday.htm

 

英語能力向上 番外編

これまでの4シリーズで英語力向上について、私のアイディアを紹介した。先ず“直ぐやる課“ではないが、直ぐに動き出すことが良い。私はこれまで25年以上に渡り、光通信関係の国際カンファレンスに参加して来た。以前では考えられなかった、英語を勉強するには格好のチャンスがある。

以下のサイトは、昨年開催された欧州光通信カンファレンスのYouTube映像である。紹介されているテーマはメーカの簡単な製品紹介や参加した人の非常に短い談話であるが、これが中級レベルの方にはぴったりだと思う。(来週には今年度のカンファレンス2012が開催されるので、昨年の実績紹介としてアップされている。)

http://www.ecocexhibition.com/ecoc2011vidpics

国際カンファレンスだと、英語をとにかく話すが、母国語以外の方の英語を聴くチャンスが豊富である。このサイトの複数のビデオをご覧頂くと、すぐさま、訛りのある英語を実体験できる。

挑戦として、先ずそれぞれのビデオを見て、その話す方の訛りを確認してみる。

確認が出来たという事は、hearing力としてそれなりのレベルにあることは間違いない。 何をコメントしているのか、手元のメモ用紙にでも、dictationしてみる。少し解りづらければ、ビデオのその部分を数回繰り返して見る。最終的に、日本語でテロップが付けられる位の作業を行う。

その気になれば、role playとして、インタビューする側の気持ちになって、こんな質問でもしてみようか、インタビューを受けるメーカー側の気持ちになって、こうやって新製品の説明を話せば、解ってもらえるとか、実践的経験が直ぐに出来るのである。

皆様、ご自分の仕事のテリトリーで、ともかく参考になりそうな、英語サイトのビデオを探しだし、ここで説明したステップをやってみることをお勧めします。

(追記)ビデオの中に、以前ご一緒に写真を撮らせて頂いた方や、一緒に仕事をした方、お名前を存じ上げている方などが登場しておりました。

卸しと問屋

こんな日本的商いのちょっと古めかしいキーワードにしても、物やサービスを提供したいというシーズ型ビジネスと特定な物やサ―ビスが欲しいというニーズ市場型ビジネスが想定される。

メーカ(生産者)とエンドユーザ(時には消費者)を物流的に結び付けるのが、この日本的卸しと問屋の単純な役割として考えていいのだろうか。時には、実際は多くのケースで生産者や消費者は非常に弱い立場にある。

仲買人の言い値で生産者は安い値段で物を売り渡さざるを得ない時、消費者も問屋や小売店から言い値の高値で買わざるを得ない時もある。物流的には、卸しは規格商品をメーカから大量に仕入れて、それを小分けにして小売店、そして消費者(エンドユーザ)へ供給するという役目も果たしている。

現代のe-commerce(通販業者)も商材を仕入れて、ネットでユーザの目を止めさせ、注文を瞬時に受けて、商売成立という事になる。小規模のネット通販では商品の独自企画は出来ないので、所謂メーカ、生産者の企画製品を、ウェブの上手い宣伝文句で、いかにユーザの心を擽る(くすぐる)算段に時間と資金を費やしているのが現実の姿と思う。大規模ネット通販業者は、旧来の卸し・問屋の力量を出し、メーカー側に独自企画の製品開発を委託出来るケースもある。上手くいけば独自企画商品という差別化で売上倍増も期待できる。

昨今、e-commerceや物流に関係なく、規模の大きい世界市場を想定し、品質や量産技術の工場で、物が大量に生産され、メーカー間の熾烈な生存競争の果てに、弱小企業が淘汰され、年間生産数が億を越えるような規模でも、メーカーが数社なんている業界もある。こういうケースはもはや卸しや問屋が入り込める世界でなく、メーカ主導型ビジネスとなる。

最近ではファブレスと言って、生産設備を持たない“メーカー”がいる。普通はそのような企業をメーカと思っている。物作りでなく、物やシステムの独自設計力があり、生産だけを他社に委託しているのである。実際には世の中に、こういう製品が多い。“メーカー”といったが、実は力のある卸し・問屋なのかもしれない。自社の企画製品は絶対市場で売れる、ユーザのニーズを満たしていると自負している。

こんな状況をひっくり返す最近の流れがある。卸しも問屋もいらない。エンドユーザが支配的なケースである。商売とは売買とイコールで有るのだろうか。否、中間の“メーカー”や問屋が介在しない世界である。ただし、一つ条件があって、エンドユーザは製品の消費規模(利用数量、台数)が極めて大きいことである。所謂大量購入、消費が出来る力量を備えたケースである。更に必要な製品の独自企画・設計力も備えているケースである。

簡単に言うと、エンドユーザが自ら商品設計をして、大量に委託製造業者に発注して、自らがその商品を利用するのである。下記のサイトに、こんな事例があることを示した。

http://www.datacenterknowledge.com/archives/2012/05/08/open-compute-shakes-up-server-supply-chain/

これでお終いと思ったが、よく考えると、受注している製造委託会社は、実は所謂メーカとエンドユーザの中間にいた“メーカー”や問屋がそれなりの長い期間で育て上げたものではなかったのかと。引用資料でも、英文でサプライチェーンを shake up しているとある。これを恐ろしい震え立たせると解釈するか、前向きな意味でも業界の reorganize と考えると面白い。実際、shake up に reorganization という意味もあるようだ。

米国レーザ核融合最新情報

米国立ローレンスリバモア研究所施設で行われているレーザ核融合プロジェクトで、初期目標1.8メガジュールを越える1.875メガジュールのレーザ光(192のビーム束からなる)の照射実験が達成されたという。オリジナルの赤外光レーザから高調波変換で紫外レーザを得た訳だが、発生時の2メガジュールという高出力は従来のものより100倍も大きいという。詳しくは引用サイト(英語)をご覧頂きたい。

http://bit.ly/H1L5hJ

ローレンスリバモア研究所: https://lasers.llnl.gov/

久々のGreen Touch コンソーシアム:FTTHなどのエネルギー効率大改善

これは、ちょっといいと直ぐに飛びつかないで下さいとも書かれているように、長期的なプロジェクト、取り組みになる。国際的な標準化作りもこれから。

一体どのような仕組みで、今世界中で布設・普及が進んでいる、所謂ブロードバンドの先端を行く、fiber to the home (multi-dwelling units、海外では日本で言うマンションへの光ファイバー繋ぎこみが主体) のエネルギー効率が改善出来るのだろうか。

詳しいプロトコルまでは紹介されてはいないが、Bi-PONとある。Bit interleaved passive optical network だそうだ。従来の光通信ネットワークでは処理されている99%のデータが利用されていないと指摘されている。さて、FTTXにBi-PONなるシステムを導入すると、30倍ものエネルギー効率改善を達成できるという。

Orange Labs, Bell Labs, nano-technology research group imec and French public research agency INRIA などのコンソーシアムのメンバーで開発したのだそうだ。やはり、日本のメンバーは入っていない。ポイントはちょっと複雑なデータ処理をするようで、専用の処理用半導体チップが必要で、そう簡単には現状のネットワークの更新は出来ないらしい。装置の新規設置が必要なようだ。

とりあえず、速報まで。詳しい続報が楽しみだ。

Bi-PON は2012年6月5-7日、米国ダラス・テキサスで開催されるTIA 2012のGreen ICT Pavilionでデモされるそうだ。

http://www.greentouch.org/

http://www.wirelessweek.com/News/2012/03/networks-GreenTouch-unveils-hyper-efficient-FTTH/

(追記);Green Bizによると、従来のPONシステムでは、例えば分岐するスプリッターの下の16-32ユーザのに全てのユーザのデータを送っていて、それらの中から特定ユーザの信号のみを取りだす仕組みだったが、新しいBi-PONは無駄なデータをPON上に送らず、始めから特定のユーザだけに信号を送ることで、データの処理・伝送段階で省エネ、エネルギー効率改善を達成させると紹介されている。いずれにせよ、現PONは世界的にかなり浸透しており、Bi-PON賀市場に入り込むには5-7年程度かかるとコメントされている。

http://t.co/qCZ1qfuT

最新情報;欧州の高速FTTH

欧州で、低コストでアップグレード可能な高速FTTHネットワークの検討が進んでいる。

新しいネットワークは耐久性のある双方向リング構成で、1か所のCO (central office) を中心に置き、複数の分岐点をリング上に設ける。リング上の分岐点の下流ではPONのように更に分岐する。リング上に流れる信号はWDMで波長毎に分岐される。

下り・上り信号が対称なケースでは、COから20km以内で1000-4000ユーザが300Mbpsの速度で結ばれる。

下り・上り信号が非対称なケースでは、COから100km以内で、250ユーザが、下り10Gbps 、上り2.5Gbpsの速度でサービスが提供出来るという。

フィンランドのベンダー、Tellabs社がラボテストを行い、フランスのオレンジ・テレコムやミラノのFTTHCで実際のデモンストレーションを行っているという。

http://www.techweekeurope.co.uk/news/eu-researchers-propose-cheap-fibre-rings-for-10gbps-ftth-67139

Harnessing Light IIのフォロー

2011年1月22日から開催されたPhotonics West 2011のイベント、Harnessing Light IIですが、当日会場で、この今の時代に、研究開発後になって紙面に印刷するようなレポートを発行することは、ナンセンスだという意見があり、ネット上でオンライン形式で議論を進めたら如何かという提案があったことを、私のカンファレンス参加報告書 (http://j-photonics.org/resume/20110421_3.pdf) に記載しておきました。

Photonics Spectra の2011年7月号で、実際に米国で、オンライン上で議論するブログが開設されたことが報じられています。サイトURLは以下の通りです。

http://www.harnessingminds.org/

委員会メンバーはPhotonics West のフォーラムメンバーとほぼ同じです。

ブログの寄稿者はやはりPhotonics West のフォーラムの委員長他3名です。

ハッシュタグ#HarnessingLightのTwitterも開設されています。

6月9日付けのブログで米国の活動と他の世界各国との比較、違いと題されたものが寄稿されています。その中で日本はいかにとあり、どのような経緯があったか分かりませんが、OITDA光協会の2009年の年次報告書(サイトURL)が参照されていました。

http://www.oitda.or.jp/main/ar/ar2009.html

委員会メンバーに対して、以下の7項目の設問が示され、意見を募っています。

• What are the grand challenges of our times?

• What more can be done to establish photonics as a key strategic technology, as much of the world has already done?

• What can be learned from the strategies of our trade partners?

• What are the barriers to progress in your field?

• Where will the next technology opportunities be found?

• What needs to change to move optics and photonics forward?

• How do we keep manufacturing jobs in the U.S.?

また、Photonics Spectra の2011年6月号では、Defense, Security & Sensing カンファレンスとCLEOカンファレンスでHarnessing Light IIに関するタウン会議が催され, 産業界のコメントが求められた事が報じられている。

新しい光源、近赤外光

2011年11月22日付け、Photonics.comのニュースレターで、近赤外線の新しい光源開発(米国、ジョージア大学)が紹介されている。(オリジナル;英語原文)

近赤外光であるので、人の目には見えないが、戦略的応用には事欠かない。ナイトビジョンで見ることになる。実際にサイトで紹介されているジョージア大学のロゴマークは発光した燐光をナイトビジョンで見たものである。

原理は、いわゆる、燐光、蛍光現象に基づいている。しかし、燐光、蛍光現象は遷移時間、緩和時間が短く用途が限定されてしまうが、今回の新物質開発では2週間も燐光現象が継続するという、画期的なものとなった。

3価のクロムイオンは燐光現象があるのは良く知られているが、発光時間は数ミリ秒と短い。そこで、ジョージア大の研究者は3価のクロムイオンの基体として亜鉛とガリウム(Ga)ゲルマニウム(Ge)系セラミック(gallogermanate)を用いて、この2週間という長時間燐光現象を達成した。このセラミックス材料は耐候性に優れており、屋外用途にも十分機能するという。

用途は軍事、警察分野だけでなく、高効率の太陽光発電、ナノ粒子に加工して癌細胞と結合させ、可視化して検出可能に出来るなどアイディアが広がる。

http://bit.ly/u8ONgq