十月号に引き続き、「歴史・考古学が面白い」を深める為に、特にルーツについて自分の身をあるところに置いて独り言を呟く。十月号で人のルーツについては、どこかに自分に似た人がいる風に少し書き始めたが、今回三つのルーツについて、第一は自分のルーツから、第二は現代人のルーツ、そして第三は縄文人のルーツについて、解説風に呟いてみる。
1. 自分のルーツ・母方と父方
弥生後期の人骨形態学による再現古代人の顔が母方の祖母(本家は埼玉県鴻巣)・叔父さん(埼玉県在)にそっくりで、これは初期の人骨顔再現法でもこんなにそっくりさんを再現出来るのだという、表現のしようがないくらい驚いた事とこんなに身近な係累で自分の出自が解ってしまう事は驚きを沈めさせてくれた。関東北部の群馬県の榛名山近くと記憶している遺跡からの遺骨を分析・再現した研究成果だという。
もうひとつ、父方についても次の検証があるのだ。2006年の秋、2008年の夏にオリンピック開催の決まっている北京を訪問し、その際で時間が前後するが、日本へ帰る日、知り合いの中国人のお母さんがホテルまで見送りに来て頂いた。背が高く、面長の顔、中国の北部に多い民族を代表するような目も細い。亡くなった叔母さん・父の姉にそっくりだった。父の姉は、四十台で死んだ祖母(本家は埼玉県の戸田)とそっくりだったそうだ。背丈は違うが、面長の顔はそっくり。叔母さんの娘・従兄妹・既に病死は、もっと似ていたような気がした。
北京で企業訪問の日、訪問で行き先が分からず、タクシーがやっと目的地に着いた。降りて若い人にお邪魔すべきビルをタクシーの運転手が聞いた。また、吃驚。その若い人の顔が私の従兄弟・父の弟の息子にそっくり。歳はいとこよりやや若いが、背丈、顔かたちがそっくりだった。北京へ来ているはずは無い。このいとこの顔は私と血の繋がりの無い、伯父さんの連れ合い・伯母さんの系の顔で漢民族とは違い福建・広東系の、私の体験では香港でよく見かけた少し年配のご婦人の顔が伯母のお母さんに非常にそっくりであった、
中国の人口は十三億人、それも単一民族ではなく、南方系、北方系だけでなく、もっと複雑な古来からの民族の集まりが中国をなしてきた。周辺の国々も、南はベトナム(漢字で越と書きます)、朝鮮半島の北・南、昔なんて国境もいい加減、人の往来は戦争や事件で逃げたり、避難したり、貧しさから逃れるために移動してきたはずで、人口1億の日本民族も単一でない。中国、朝鮮半島と似た図式であろう。その証拠に、ちょっと出かければ、人口が十倍だから、知っている人に似た方を見出せる確率が高いのであろうと納得した。
二.現代日本人のルーツ
ここからはDNA研究者の解析結果である。
父系のDNAで表記すると概ね次の四種類、オホーツク人C2・縄文人D1a・長江弥生人O1b2・漢人O2で構成されていて、青森県・東京都・静岡県・徳島県・九州・沖縄県において、全ての県で縄文人が一番多く、その比率は60超から35%で異なる。弥生人と漢人を加えた3DNAの比率は95から80%で主要構成。、各県の特徴として沖縄が縄文人60%超のトップで、九州は弥生人と漢人の合計が60%でオホーツク人が混じる、徳島は九州に比べ弥生人と漢人の合計は50数%で少し小さい、静岡はこれら2つのDNAは60%を少し超え弥生人の%が大きく35%を示している。東日本の東京・青森では縄文人の比率が50%程度に増加して、オホーツク人と弥生人亜種O1b1と表記される長江越人が数%あることを特徴とし、東京と青森の差異は青森の方が縄文人が少し減った分オホーツク人と越人が増えている。東京の方が、縄文人の%が少し大きく、その分オホーツク人と越人が少なく、東日本では東京の縄文人が多いのである。私の個人的興味は、記紀等から東日本で大国であった日高見国の情報が消えている理由などが遺跡の人骨DNA解析で解明される事を期待したい。
三.縄文人のルーツ
DNAのゲノム解析で判明しているタイプはD1aである。
氷河期の三万八千年前に、アフリカを出発した現生ホモサピエンスは、アジア大陸へ、そして日本列島に到達、しかしスフール大陸・オーストラリアまで南下したGrが再度沿岸を北上したGrと途中でアジア大陸内で北上したGrが樺太経由南下して、列島に到達したと考える。これらの南方系Grと北方系Grが混血して縄文人として日本列島内外で活動したと思われる(D1aという男系縄文人DNAの呼称)。 *注 後年十二世紀ごろに北方より北海道に南下したアイヌのDNAはオホーツク人と縄文人固有のD1aの二種から成っており、縄文人の%は80%と非常に大きい。
研究参照 篠田謙一氏 佐賀医科大 *発掘された人骨の歯を中心に解析
斎藤成也氏 国立遺伝学研究所 *ヤポネシアゲノム研究関連
余談ではあるが、時代的には日本の縄文後期にあたるアイスマンのDNAは詳細に調べられて、wikiに紹介されているが、背丈は160㎝で目は茶系だそうで、現代の我々が思い浮かべる白人系の背が高い人種ではなく、少し西域アジアに見られる人種の様であった。
十月号中の訂正
アイスマンは五千年前 訂正 五千三百年前
完