消費者としての我が身とエネルギー政策との接点


学生時代(1975年前後)漠然と日本のウラン核分裂による原子力発電が注目され、どんどん増えてくるなという環境をうすうす感じていた。専攻が材料、それもセラミックスを主なテーマとする学科で、原子力関係へは進まなかったが、極めて強い放射線環境下での炉材材料の劣化研究など含まれていた。大学院へ進むため所属した研究室ではゼミ勉強会として当時現場で活躍していた専門家の先生方の話を聴く機会も多かった。その中で原研の専門家で、溶融塩型高温増殖炉が理想的で、夢のエネルギーが得られるというバラ色の話があった。今になってそんなバラ色は消え失せた。

1978年に社会へ出て就職すると、私は半導体材料担当だったが、核融合のうち磁場によるプラズマ閉じ込めに続くレーザ光による次の核融合を目指す、高強度のレーザ光を発振させるガラスレーザ光システムの開発を就職した企業の他部門が進めていた。自分に近かったのは酸化物結晶によるレーザ光発振を開発している部門で、後に実際に使わせて頂き半導体薄膜(ミクロンレベル)の加熱処理を進めた。昨今では高強度パルスレーザ光による大型材料加工(厚膜鉄板の切断)の実用化、医療分野への応用がなされ、1980年ごろに開発取り組みをした欧米のチームが2018年のノーベル物理学賞を受賞した。それにしても40年弱の時間が経過している。

話を戻そう。就職した部門での他分野研究として、1980年当時、始められたばかりのシリコン薄膜太陽光発電セル(ソラーセル)の試作も行った。現在の再生可能エネルギー政策として風力発電とともに重要な位置づけをされている太陽光発電の黎明期であった。この時のシリコン薄膜は低温度で形成され、水素分子が多く含まれる所謂アモールファス状のものであった。その後ポリシリコンとともに液晶ディスレイを駆動させるトランジスタデバイスにも使われた。

それから齢を重ね、省エネ・脱二酸化炭素ガスを御旗として、ハイブリッド車とか家庭にもソーラーセルを導入という機運が国内外で作られてきた。初めてハイブリッド車を手にしたよと、友人の中でも物好きなやつが、わざわざメールで連絡してきた。また、吃驚したのが実家の兄が新築した実家の屋根にソーラーセルを載せたことだった。都市ガスの配管が来ていない神奈川県の在にある実家はプロパンガスを使っており、オール電化にして、ガス代節約を標榜し、多額の投資をした。そこにはちゃんと裏があり、国や地方自治体が助成金を出し、普及を図る仕組みに、兄が乗っかったのだ。

数年して、2011年3月11日の東日本大地震が発生し、日本のエネルギー政策が根底からひっくり返った。2018-2019年現在でもふらふらしている。実は原発が停止し、計画停電もされたが、運よく、東京山の手線内に住んでいたので、真っ暗な夜を過ごすことはなかったが、翌2012年の末、自宅へもソーラーセルの設置工事を行い、2013年初頭から太陽エネルギーの直接恩恵を受けることになった。弟の私も国や地方自治体の助成金システムを利用させて頂いた。現在も劣化もなく発電を続けているが、年間の推移をみていると天候に大きく左右されていることがわかる。発電量変動にして15-20%であり、これはお天道さんが良く照っているとか照っていないとか、飢饉を起こしてもいいくらいの変動である。気温や降水量もあるが光なくして光合成は進まず、即食糧難と関わってくるものだ。

2005年、27年間のサラリーマンを辞めて、自営のコンサルタントになったが、業界支援として活動しているときに、前にも書いた風力発電に世界的に巨額の投資がされ、直径50メートルを越える風車が国内でもあちこちで目に付き増加しており、その風車の羽根の歪を“ある光技術”でモニターするデバイスに関わった。海外の風力発電量は大きく、国内は小さい。本当に大風が吹くと羽根が壊れ、インフラ設備の風車自体も倒壊する事故も起きている。仰々しく国のエネルギー政策の議論はしないが、ワットの蒸気機関が発明され、化石燃料を大量に消費し始める産業革命以降、増え続ける大気中の炭酸ガスの上昇を抑えようとする大義が各国にあって、持続可能再生エネルギーの開発導入が原子力発電とバランスしながら、推進されてきた。

ところが2011年の東日本大地震による原発の被災を契機に、コストが安いといって石炭、天然ガスによる火力発電が代わって前面に出されてきた。化石燃料の需要増大で価格上昇がもたらされ、シェールガスの高い採掘コストの元がとれると理由で米国がシェールガス埋蔵量トップで米国はエネルギーの輸出国のポジションを得るとことになった。中東やベネズエラの石油産出国の取り巻く環境変化、エネルギー産出が低下してきたロシア、価格高騰の原油の大量輸入で貿易赤字増大の日本と、世界のパワーバランスの変革が進む現状を平成最後の日に独り呟いている。