アインシュタインとE=mc2

寺田寅彦が大正10年10月に発表した“アインシュタイン”の中に、以下のように書かれているところがある。

ある対談でアインシュタインが次のように述べたそうである。「蒸気機関が発明されなかったら人間はもう少し幸福だったろう。」。また他の人と石炭のエネルギーの問題を論じている中に、「仮りに同一量の石炭から得られるエネルギーがずっと増したとすれば、現在より多数の人間が生存し得られるかもしれないが、そうなったとした場合に、それがために人類の幸福が増すかどうかそれは疑問である」と云ったとある。

という事は、アインシュタインが、蒸気機関が発明されて人類が幸福から遠のいたと考えていた。化学反応の石炭の酸化燃焼反応で得られるエネルギーよりもっと莫大なエネルギーを取りだせる方策をも考えていたのではないか。それで、より沢山のエネルギーを得ることで、人の幸福が更に遠のいていくと考えていたのだろうかと、今日、自問してしまった。

当時既に、アインシュタインのエネルギーと質量の関係、E=mc2という事は理解されており、人類は後年、核分裂反応の僅かな質量減少から、莫大なエネルギーを取ることに成功し、不幸な利用(爆弾)や平和利用(発電)という蔭で放射能汚染まで実体験してしまった。そんな事まで、当時のアインシュタインが考えていたとは思いたくないが。

引用;青空文庫

http://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/43074_23773.html

Eはエネルギー、mは質量、cは光の速度。

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